上顎犬歯は下顎歯列の側方運動の舵取りをするような働きがあります。 咀嚼筋に牽引される下顎歯牙の強大な力を受け止め後方臼歯への噛みしめ力を分散させる機能を担保するだけの強靭さが必要なため、天然歯では全歯牙で最長の歯根長があるとともに歯列弓の両角に位置します。 一般に犬歯を喪失した場合、ブリッジ修復なら3歯以上の隣在歯を動員することが推奨されますが、前歯と臼歯では咬合咀嚼に対する変位方向が異なるため長期的には連結冠からの脱離や失活歯の歯根破折、生活歯の象牙質破断等が惹起される。
以下の症例は犬歯欠損に対して隣接歯牙の側切歯と第一小臼歯を利用したブリッジ修復がされていたが、後方の第二小臼歯が喪失することにより、側切歯から第一大臼歯までに2か所の中間欠損がある5歯分の修復治療が施されることとなったもので、あらたな修復処置は前方切歯と後方臼歯を分離することにより長期的な安定維持を期待した。 犬歯にはインプラントを利用し、過大な負荷を避けたい側切歯は単独冠に戻し、3臼歯は通法の1歯欠損のブリッジ修復として再修復された。



